IPv6に対応している光回線はユーザーにとって通信速度が速くなる可能性がある点で導入の余地があるといえるでしょう。
IPアドレスが枯渇する問題について
IPv6はIPv4アドレスの後継として開発されたIPアドレスです。
IPアドレスはネットワークの場所を示す番号のことで、インターネット通信を行うのに欠かせないものです。
現在広く用いられているのがIPv4(version 4)という種類のアドレスです。
IPv4アドレスは32ビット(32桁)で定義されるアドレスとなっています。
電子計算機たるコンピューターは2になったら位を上げる2進数演算の処理をベースとしているため、IPアドレスも2進数表記で定義されています。
したがってIPv4は0か1の32桁で定義されることとなります。
それぞれの位に0か1を入れる組み合わせを考えると、2の32乗通りのアドレスの組み合わせが定義できます。
情報が社会が進展した現代において、2の32乗個のアドレスでは不足してしまう事態となっています。
IPアドレスの枯渇への対応を目的の一つとして導入が進められているのがIPv6なのです。
IPv6は128ビットで定義されているため、2の128乗通りのアドレスに対応可能となり、IPv4の2の96乗倍まで増えました。
網終端装置がボトルネックとなっている問題について
光回線設備を持つNTTのネットワークとインターネットに接続する役割を持つプロパイダーの間には網終端装置という装置が設けられています。
網終端装置が込み合っていることが現在問題となっています。
接続する人数を基準に網終端装置の増設を決定する方針となっていますが、一人当たりの通信量が増えていることで負担が増えているのに増設しずらい状況となっているのです。
網終端装置を仲介してインターネットに接続する方式をPPPoE(Point-to-Point Protocol over Etheret)と呼ばれ、IPv4・IPv6いずれにも用いられている方法です。
したがって、IPv6であっても、PPPoE方式で接続されている場合については上記の通り必ずしも通信速度が速くなるとは限りません。
ネットワーク接続事業者に直接接続するIPoE
PPPoEの込み合った通信経路の迂回路としてIPoE(Internet Protocol over Ethernet)という通信方式が導入されています。
IPoE方式では網終端装置を介さずに直接VNE(Virtual Network Enabler)というIPv6に特化した接続事業者に直接交信する形で通信を行います。
網終端装置を介していないという点でボトルネックが解消され、通信速度の向上が見込めるようになるのです。
接続先がIPv6に特化したVNEであるという点で、IPoEはIPv6専用の通信網となっています。
VNEはプロパイダーと業務提携しており、IPv6ネットワーク接続を仲介しています。
したがって、「IPoE対応のIPv6通信」に対応していれば、通信速度が速くなる可能性があるということです。
通信速度は光回線自体の転送速度にも依存しているところで、最近では最大速度が10Gbpsの「光クロス」などのメニューも設けられています。
最大速度が10Gbpsに対応した光回線については下記の記事も併せてご確認ください。
NTT東日本・西日本のフレッツ光など複数の光回線サービスが提供されています。
また、最大速度と実効速度は必ずしも一致するとは限りません。
その理由については下記の記事も併せてご確認ください。
通信速度については下記の記事も併せてご覧ください。
IPv4とIPv6の共存
原則としてIPv4アドレスを用いたIPv6ネットワークの接続は不可能です。
しかし、様々な工夫によりIPv4アドレスとIPv6アドレスが混在している状態でも通信は可能です。
IPv4アドレスをIPv6アドレスのネットワーク通信でも識別できるように変換を行う処理などを行うことで対応可能となります。
注意点としては、アドレスの定義がそもそも異なっていたり、必要に応じてIPv4-IPv6の変換を要するなどの理由によりIPv6ネットワーク通信を行うには対応している専用のルーターを導入する必要があります。
NTT PC COMMUNICATIONS
ICT Digital Column「【初心者でも分かる】PPPoE方式とIPoE方式の違いとメリット」
2025年1月9日参照
https://www.nttpc.co.jp/column/network/pppoe_ipoe.html
eo光 [start-eo.jp]
「eo光はIPv6対応だけどIPoE接続じゃない?気になる速度は?設定方法も合わせて解説!」
2025年1月9日参照
https://start-eo.jp/eohikari/eoipv6-45
docomo business / NTT Communications
「NTTのONU(光回線終端装置)とは? モデム・ルーターとの違いとトラブル時の対処法」
2025年1月9日参照
https://www.ntt.com/business/services/network/internet-connect/ocn-business/bocn/knowledge/archive_118.html
ARTERIA
「PPPoE接続とIPoE接続の違いとは?仕組みを理解し速度を改善」
2025年1月9日参照
https://www.arteria-net.com/business/column/pppoe_ipoe/
docomo business / NTT Communications
「IPoEとは?「IPoE」は「次世代インターネット接続環境」といわれ、これからスタンダードとなる回線方式です。」
2025年1月9日参照
https://www.ntt.com/business/services/network/internet-connect/ocn-business/ftth/know.html
CONFIG NETWORK
「IPv6を提供するVNE事業者とは何かを解説」
2025年1月9日参照
https://layer3.info/vne/
ネットワーク・サポート・サービス株式会社
「IPv6におけるISPとVNEの関係」
2025年1月9日参照
https://www.net-support-serv.co.jp/secret-4.html
@IT
ものになるモノ、ならないモノ(81)
「固定回線でも「ギガ不足」におびえる時代が到来か、トラフィック急増により現場で起きている悲劇とは」
2025年1月9日参照
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1902/19/news013_2.html
総務省 総合通信基盤局電気通信事業部 料金サービス課
「次世代ネットワーク(NGN)について」
2025年1月9日参照
https://www.soumu.go.jp/main_content/000478909.pdf
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